偏向報道による世論操作は、政治や経済や倫理に影響を与えかねず、実際に社会を変容させたり、国民に対してマスコミ主導のミスリードを招いている例(戦時下のなどの自主規制とそれに続く言論統制など)がある[6]。
近年はインターネットの発達で、ネット・ジャーナリズム(市民ジャーナリズム)の台頭と情報の多様化を主因として視聴者などからの既存メディアへの批判が活発におこなわれており、相対的にマスコミの地位も低下している。この中で、既存メディア(テレビ・新聞)対新興メディア(インターネット)両者の対立による「偏向報道」の批判合戦が行われている現状もある。
右傾化していると指摘される一部のネットユーザによる、「
整体師
した偏向報道」を行っている(と彼らが主張する)既存マス・メディア(とりわけ朝日新聞・TBSなど)への批判・攻撃は、既存マスコミへの不信による報道活動への批判の面とイデオロギー摩擦の面と「新」対「旧」というメディアにおける世代間対決の三つの側面を有しているとも指摘することができる。この例から見ても、メディアの多極化と情報の発信者・受信者の価値観の多様化が「偏向報道・印象操作」の定義付け自体の難しさや「偏向報道批判」の混沌さを増幅させているともいえる。
未だに既存メディアによる報道を無批判・無考察なままに信用する人々も多くいる中、新興メディアのインターネット上においてもイデオロギーに影響された情報や信憑性に疑問符が付く情報を鵜呑みにし、影響されてしまう人々が数多くいる現状がある。情報が氾濫しメディアの多様化・双方向化が進む中でメディア・リテラシー教育の必要性が叫ばれている。
情報化社会の進展に伴い、種々雑多な情報の氾濫や、事実全体の一部のみを強調する報道、
粗大ごみ
の不適切な使い方等によって、消費者の冷静で適切な判断を阻害するケースが生じた。また製品選択の幅が広がり、関係製品の排除が容易になった事から、それらの内容に対して情緒的に過剰に反応する傾向も強くなった。以上の事が、風評被害の発生とその拡大の要因になると考えられる。更に近年ではインターネット掲示板やチャットにより株価を操作する目的の風評被害が多発、これを用い株価を操作したとして逮捕者が出るに至る。その為、各企業では風評被害に対する対策を講じる必要が生じている。
但し、1997年に起きた日本海でのナホトカ号重油流出事故では、風評被害だけでなく、実際に水産業や観光業が打撃を受けている。また、2001年の同時多発テロの直後には、爆弾テロ等が生じている。従って、
風評被害を防ぐ為の取り組みの例として、2000年6月、産業廃棄物の処理・溶融施設を持つ直島町において「風評被害対策条例」が設けられた。同町において事業を営むものが風評により経済的被害を受けた場合は、当該被害の範囲内で風評被害対策給付金を支給するとされている。
日本国内で最も広範に広まった流言に、オイルショックによるトイレットペーパー騒動がある。
1973年11月1日午後1時半ごろ、大阪千里ニュータウンの大丸ピーコックストアの宣伝用の特売広告に、(激安の販売によって)「紙がなくなる!」と書いたところ、突然300人近い主婦の列ができ、2時間のうちにトイレットペーパー500個が売り切れたことから始まった。
当時は第四次中東戦争という背景もあり、原油価格の高騰により紙が本当に無くなるかもしれないという不安心理から、各地で噂が飛び火し、行列が発生したため、マスコミにも大きく取り上げられ、混乱は全国に連鎖的に急速に拡大した。高度経済成長で大量消費に慣れていた人たちが、初めて「物不足の恐怖」に直面したために起こった騒動とも言われている。ただし製紙過程では紙を乾燥させたり機械を動かすために石油を消費するため、原油価格の高騰と紙の
不用品回収
は完全に無関係なわけではない。
1973年、愛知県小坂井町のあるところで、高校生達が自分達の就職先の話をしていて、「豊川信用金庫」が就職先としてどうであるのかという話で盛り上がっていた。内容は、他の高校生がただからかうだけで「豊川信用金庫は危ないよ」と話していた(金融機関を狙う強盗による物理的な危険性を指しての発言だったらしい。なお、その時点では豊川信金は経営的には安定していた)。この女子高校生の話を本当に鵜呑みしてしまった高校生が、親に就職の相談を持ちかけ、親は豊川信金小坂井支店に預金があったため、急いで預金をおろす準備をした。そして、その行動が町中に広がり、豊川信金は全体として17億円が引き出されて活動が不可能になってしまった。
1923年9月1日の関東大震災発生後、実際よりも大袈裟な、朝鮮人による略奪や暴徒化に関する流言があった。当時は報道手段が新聞や出版程度しかないため(ラジオ放送開始は大正末期の1925年である)一般市民が最新情報を入手しにくく、流言が広がりやすい環境下にあり、またそれ以前から朝鮮半島出身者が治安上の脅威と考えられていたことによる。
更に、流言が発生するにはある条件を満たしているとより広がりやすくなる傾向があるとされる。 噂が広がる要因のひとつに“話をする人”が挙げられる。その人に信用がある、又は情報をよく知っているなどの条件が重なれば、聞き手はそれが本当であると信じてしまう(検証せずに鵜呑みにしてしまう)、次々と伝播してゆく。さらに、「これはためになる」と思い込むことから、良かれと思って(=善意で)自分の周囲の人や知人に広く伝播させてしまう傾向が強い。パソコン通信時代、「LHAにウイルスが混入」「○○地方から当たり屋グループが」「輸血で必要なためB型Rhマイナスの人を探しています」などといった書き込みが伝播したこともある。いずれも善意の情報を装ったものであり、のちのチェーンメールのプロトタイプとも言える。
また、社会的情勢が不安定である場合、噂が広がり易いとされる。例えば、石油ショック・不況といった何らかの社会情勢の不安定化、大地震などといった天変地異、伝染病の流行などがその契機になると見られており、人間の、危機や不安に対する自己防衛本能、最悪の場合を想定してそれに備えようとする本性との関連が指摘される。
事実に基づく報道であっても、作為的な編集や誇張による偏向報道、それらによる意図的な社会的制裁によって、一部を見聞きした人が誤認してしまう場合がある。
例えば週刊誌の広告における「見出し」や、スポーツ新聞・夕刊紙の「トップ記事」は、ある種の「誤解」を覚悟、または計算して、センセーショナルな見出しを付ける場合が多く、これらを目にした人が、本文を読まずに誤認したままとなるケースが少なくない。
誤報や誤解を生じる内容であった事が明らかになっても訂正されなかったり、また訂正文が掲載されても、先の本文ほどには目立たない形で書かれる傾向にある。その為、必ずしも被害者の不名誉が払拭されるとは言い難い。最近では丸々1ページに訂正謝罪文を掲載せよと求める損害賠償請求訴訟が起こされ、認容される例も多い。
また、報道被害を受けた者が、その報道の根拠として情報源の開示を要求しても、「取材情報源の秘匿」を理由に拒否される場合が多く、被害者の「身の潔白」の証明を阻害する要因となっている。